第5章 自分を中心に生きる

ここまで、強みについての理論と、自身の強みを発掘し使う方法を紹介してきました。最後に、強みを含む自分自身を理解し、自分を中心にして生きるうえで大切なことを紹介します。

目次

5-1. 自分の軸を中心にするとは


「自分を測り、自分を立ててゆく」という人生を始めるのに必要なのは、世のいかなる理論のどのジャンルにあなたが当てはまるかを知ることではありません。理論や正しいと認められていることと、自分にとって適切であることとは一致しないケースはよくあります。

自分を軸にするためには、自分を実験台にして「自分にとってベストかどうか」を探ることが大切です。実験結果によって、自分にとって「良いもの」と「普通なもの」と「悪いもの」を選別していくのです。そうやって初めて自分という人間を、少しずつ理解するのが可能になります。

自分自身を明確にするための一つの方法が、このウェブサイトで紹介している「強み発掘」です。

自分の軸を中心にしない人とは?

自分の軸を中心にしない人は、自分には「ない」ものに目を向けている人です。
自分には「ない」ものに目を向けて、それを外の世界から得ようとし、スキル(能力)を身に付けることに躍起になり、そうやって得た資格やスキルを中心として生き方をしてしまいがちです。

スキルを中心とした生活を続けると、大体下記のふたつのケースに落ちてゆきます。

1.信者になるケース
「ほら見て!こんなに変ったから」と、その道こそ素晴らしい、これこそ革命だ!と他のものが見えなくなってしまうケース。

2.渡り鳥症候群になるケース
「もうこの道は十分に知り尽くした。しかしもっといいものがあるに違いない。私には向上心がある。」と次から次へと新しい方法を習得するケース。

どちらも”正しい理由”があるため、実は情報と知識に踊らされている状態だとなかなか気がつきません。
“正しい理由”とは、実際に体調が良かったりメンタルが健康になったり、理屈が通っているなどです。また、「なぜそんな結果になったのか?」という問いに対しては「正しいことをやったからです」と答え、それが”正しい理由”の正しさの根拠ともなるというトートロジーを発動します。

この考えは、とても危険です。

なぜなら外の世界の情報で自分を立てようとしているのであって、自分自身が内側に持っているもので自分を立てようとしていないからです。
自分を軸にするには、理論先行で”正しい”ものに流されないことが大切です。

5-2. 自分らしくあるために

自分の軸を中心にするには、自分らしさを知ってそれを日々活かします。

自己理解のための3つのプロセス

「自分のことほどわかりにくい」とよく耳にしますが、そう感じるのは、適切な自己理解の方法を知らず、また、継続的に行なう習慣がないからです。
例えば、自分の顔がどんな作りなのかを知りたければ鏡を見れば解決しますよね。毎日鏡に顔を映してチェックすると、そのうち、自分の顔のことが細部までわかるようになってきます。自己理解もこれと同じです。

自分の外見、内面、心の状態、健康状態なども、正しい方法を知って継続することで、日々新たな発見があったり理解が深まったりします。
そのためのプロセスは3つ。

(1) 自分を理解する正しい方法を知る

自分を知る正しい方法を多くの人は知りません。それよりも社会が求めることに適応することを刷り込まれてきてしまっています。自分を優先すると悪いことをしているような気になるという、心理問題もあり、ますます自分を知ることから遠ざかってしまいます。まずは、自分を理解する正しい方法を知ることが大切です。

(2) 思い込みに左右されず、自分の資産を見る

自分の資産(持っているもの/リソース)を見るときに、もっとも深刻な問題となるのが「自分を知る =自分の悪いところに目を向けなければならない」という思い込みです。
この思い込みがあると、自分の嫌な部分を認めるのを避けたいという感情から、自分の資産を見ることも一緒に避けてしまうことになります。思い込みに左右されず、自分の資産を素直にみることが大切です。

(3) 時間をかける

自分を知るには、自分を振り返ったり(過去ベース)、観察したり(未来ベース) する必要があります。すぐには結論が出ないので面倒でやめてしまうことがよくあります。長期視点を持ち、じっくり取り組むことが大切です。

自分らしくあるための、3つの自分

自分らしくあるとは、以下の「3つの自分」を知ってそれらに取り組むということです。

(1) 自然体の自分を知っておく

あなたは、自分が「ありのまま、ただそこにいるだけで、どれだけ価値があり・どんな人が集まり・どのようになっていく」のか、知っていますか?
努力や訓練、成果、飾りなどの全く入らない素の自分の状態はどのような状態なのか、自分という人間をそのまま観察できていますか?
「自然体の自分」=「資質」とも言えます。
なるべくそのままの状態でうまく行く方法を考えるのが、ポイントです。

(2) 自分がどのような力を発揮できるのか。「強み」を知っておく

自分の資産の一つが、強みです。強みは武器です。戦うときに有利になるものです。
自分の武器はどんなところで役立ち、力を発揮するのかを知り、うまくゆく場所を探しておきましょう。そうすることではじめて強みは本来の力を発揮できます。

(3) 自分の”ブロック”を知っておく

ブロックという「自分を引き止めて思うようにさせない心理メカニズム」を知ることも大切です。 ブロックを知るということは、ブロックをはずしたり、向き合ったりすることです。 ブロックに対応するだけで自分らしく生きることがスムーズになることが、実際にあります。


これらのことを踏まえて、自分らしく生きるにはどうしたらよいかについて、更に詳しく述べます。

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