強み理論 第5章 自分を中心に生きる

5-3. 自分らしく生きるために大切なこと1: 完全個別化

自分自身を明らかにするときには、類型化ではなく完全個別化を行うことが大切です。そのためには、自分の内面とよく向き合い、対話することが必要です。

類型化とは
類型化は、あらかじめ最終的なタイプの振り分けが決まっており(タイプA,B,C,Dの4種類など)、その「型」に当てはめる方法です。質問に答えるなどして、自分のタイプを特定します。

個別化とは
個別化は、「タイプ・型」からはじまるのではなく、「あなた」から始まる方法です。「その人だけ」が持つオリジナリティが何かをはっきりさせていきます。
例えば、指紋も、完全個別なもののひとつです。

類型化が分類とタイプによってものごとを分類し型に当てはめる方法だとしたら、個別化はものごとの個別性:つまり「その人だけ」が持つ特徴や性質をありのままに見る方法だといえます。
基本的に「同じ人間はいない」というところから出発して、個人のオリジナリティを明確にします。だからタイプ分けはできないという考え方です。

このサイトでは、強み発掘のための数多くのワークをご紹介しています。ワークの中には、一部タイプ分けを行うものもありますが、これは「あなたはタイプAです」と類型化された特徴を導き出すものではありません。
最終的には、あなたのオリジナリティをあらかじめ予想される型にはめて分類するのではなく、あなたの答えから個別の強みを導き出すという、完全個別化を行なっていきます。

この個別化という方法でワークを行うには、自分の内面とよく向き合い対話する必要があります。答えはツールやワークが与えるものではなく、自分で自分の答えを導き出します。そのため、自分に責任を持って、本当の自分に正直になってチャレンジしていただく必要があります。

 

5-4. 自分らしく生きるために大切なこと2: 「正しい妥協」を行う

社会で活動する以上、仕事もプライベートも妥協は必要です。
しかし、「自分からはじまる」人と、「社会からはじまる」人とでは、妥協の方法が異なります。自分を知り、自分を活かす物事に対しては妥協し、活かさない物事に対しては妥協しないという「正しい妥協」を行うことが大切です。

人間は社会的な生物なので、人と人とのつながりの中で生きていくために、時には妥協しなくてはならないこともあります。仕事なら嫌いな相手に頭を下げないといけないことがあるかもしれないし、本当に自分が行いたい仕事を行うには低賃金に妥協しなくてはいけないかもしれません。
だから、妥協は決して自分を捨てて屈することではなく、社会を生きるための知恵と言えるでしょう。

しかし、「自分からはじまる」人と「社会からはじまる」人とでは、その妥協の方法にはっきりとした違いがあります。

挿絵

自分からはじまる人の「正しい妥協」

自分からはじまり自分を軸にしている人は、強みや自分自身の持っている資質を知ったうえで、それらを社会に適用します。
適用するときに、本来の自分を生かす物事に対しては妥協し、本来の自分をダメにしてしまう物事には決して妥協しません。
言い換えれば、自分にとって本当にこうあるのが自然、またはベスト、という状態を手に入れるためであれば、それがなんであれ妥協します。手に入らないのであれば妥協しません。これが「正しい妥協」の考え方です。

社会からはじまる人の「正しくない妥協」

世の中の多くの人は、社会からはじまっています。軸にしていることは、次のようなことです。

  ● 何の仕事を選ぶか、どのような経験とスキルがあるか
  ● どんな仕事に携われるか
  ● その中で、キャリアアップや高額報酬は得られるか

社会からはじまっている人は、目の前の状況が変わるたびに妥協していきます。収入、生活、人間関係など社会的に求められる全ての物事に対して、多かれ少なかれ妥協しています。
このような正しくない妥協は、目的が手段となり、その手段が流されているだけの状態のことです。

仕事もプライベートも、社会で活動する以上妥協は必要です。 しかしその妥協は、「根本的に大切なものを守るため」「本当に大切なことを貫くため」に行われる必要があります。

このサイトで行うワークは「自分の強みや資質」を明らかにします。ワークによって導き出した「自分の強みや資質」を活かす方法は無数にあり、方法論に妥協することは「正しい妥協」です。「大切なもの」を根本に持ちながら、本来の自分を発見し、本来の自分を活かすものに対しては妥協する。これが正しい妥協のあるべき姿です。

5-5. 自分らしく生きるために大切なこと3:
外の強いものに流されない

感情や理解が何か強いものに影響を受けたら、3日寝かせましょう。
勢いにまかせて行動すると、うまくいかないことがよくあります。 一度時間を置くと、その物事が本当に自分に必要かどうかを判断できるようになります。

人は正しいものや良いことに動かされることは決してありません。
何が正しいか、何が良いかは人によって異なるし、同じ人でも時期によって変化するからです。

人は力強いものに動かされます。力強いものに動かされた後に、「これは正しい」「これは良い」と後から理由づけをします。

力強いものに影響を受けるのは、感情と理解(納得)があります。

感動的な想いや苦渋の重みはどちらも感情に強く影響を与え、その後の行動方針を決めさせることがあります。

理解(納得)も、感情と同じように背中に強い後押しをしてくれます。これまでできなかったことができるようになったり、理解の幅が広まった時に人はそれに影響を受けることがあります。

そしてこの勢いによって行動したとき、ほとんどの場合はやってもやってもうまくゆきません。
のみならず、うまくゆかないのは自分の努力不足だと決めつけ、さらに頑張ろうとしては「継続こそ力なり」といった本末転倒な理由付けまでしてしまう場合があります。これは「強い影響力は間違っていない。うまくゆかないのは何かを仕損じているからだ」とする心理メカニズムです。

強いものに影響を受けるのは人間の性質です。これを拒絶することはできません。私たちにできるのは対処法だけです。強いものに影響を受けたときには、必ず 3日寝かせて、勢いに任せて行動しないようにする。これを守ってください。

夜中に書いたラブレターは、情熱がこもりすぎて鬱陶しいものになっています。
3日寝かせて冷静になってから、本当にいいことを書いているなら出せばよいですし、過剰に熱に浮かされていたのなら、書き直すか出すのをやめた方がいいでしょう。これと同じことが強い影響力にも言えます。

感情や理解が何か強いものに影響を受けたら、3日寝かせるという行動を取るようにします。

一度時間を置くと、その物事が本当に自分に必要かどうかを判断できるようになります。これなくして「即行動こそ美学」みたいなやり方でやっても、うまくいく日は決してやってこないのです。

おわりに

強み理論の解説とワークは以上になります。ご自身の強みを発掘して、それらを生かして、自分らしい人生を作っていってくださいね。

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