強み理論 第2章 強みを発掘する
2-3. ポジティブ・フィードバック
ポジティブ・フィードバックは、他者の意見から強みを発掘する方法です。発掘される強みは、最も目に見えやすい表層の強みであることが多いという特徴があります。
ポジティブ・フィードバックの実例
ある女性へのポジティブ・フィードバックで多かったのは「とにかく行動が早い」「飲み込みが早い」「企画力がある」「ただでは起きない」「話が的を射すぎている」でした。
このうち「話が的を射すぎている」ことを詳しく掘り下げてみると、話す案件の3歩先が彼女にはまるで3Dナビを見ているように立体的に見えていること、彼女はそこを視野に入れながらアドバイスや話をしているが、頭で考えてひねり出すというより自然と伝えていることが多いということが判りました。
更に深く話を聴いてみると、相手には見えていない(気づいていない)3歩先のつまずきそうな点を指摘して、良くなった、そのとおりだった等のエピソードが次々と上がりました。
彼女は、未来予知などでなく、そのままの状態でいくとどうなるのか近未来予測といった意味で「3歩先が見えて、対処できる」強みを持っていたのです。
ワーク用資料
こちらのワークは、ポジティブ・フィードバック ワーク1および2に当たります。 記入例つきワークシートは無料で配布しています。下記からお申し込みください。
見本ワークシートを参考に、あなたの強みを書き出すようにしてください。なお、用紙が足りなければコピーしてください。
この方法で強み発掘する場合の注意点
①なるべく多くの人に意見をもらう
この方法では量が大きな意味を持ちます。
② あなたに関心のない人に意見を求めない
考えに考えてひねり出したような発言は、ありがたく受けとりながらも、強み発掘からは省いてください。
③ どのような意見にも素直に耳を傾ける姿勢を持つ
ポジティブ・フィードバック 《ワーク1手順》
1. シートを用意
別紙「ポジティブ・フィードバック用ワークシート1」を用意してください。
2.名前欄の記入
「名前」欄に、あなたのことを少しでも良く知っている人(肉親、恋人、友達など)の名前を思いつく限り記入します。(見本の②欄)
3.自分の優れていることをヒアリング
それぞれの人に対面、電話、メールなどの方法で「私の良いところや、優れていることって何かあるかな?客観的に教えてくれる?」と伝え、答えをフィードバックしてもらい、結果をシートに記入します。
聞きにくい相手の場合は、会話の中でこちらから相手の良いところや優れているところを話の話題として触れてから、「私も何かあるかな?」などと工夫して聞くようにしてください。
4.聞いたことを記入
良いところ、優れていることとしてフィードバックしてもらったことを「言ってもらったこと」の欄に記入します。(見本の④欄)
ワーク1の作業はここまでです。
質問はごく自然に、素直に相手の意見を聞く姿勢で行ってください。
他人の声から強みが分かった実例
ある営業ウーマンは、プライベートでもよく「また営業してる」と言われていました。しかし、彼女自身は何かモノを売っているわけでもないし、「なぜそのように言われるのか分からない」と疑問を持っていました。
普段の様子を詳しく聞いてみると、人の困りごとに対し、相手の条件に合わせて合うものを紹介するということを彼女は日常で行っていました。
これは、「マッチングの強み」を使っていて、相手が困っていることがらを解決するもの(こと)がないか、彼女自身のデータベースの中でマッチングするものを探して、ピタッと合うものを伝えていたのでした。
このように、自分からすると「なぜそのように言われるのか」ということに注目することで、強みを見つける手がかりになることがあります。
ポジティブ・フィードバック《ワーク2手順》
5.シートを用意
別紙「ポジティブ・フィードバック用ワークシート2」を用意してください。
6.指摘されたことをまとめる
フィードバックを「指摘されたこと一覧」(見本の⑤欄)に、簡潔にまとめます。
7.共通項目を分析
「指摘されたこと一覧からわかることを「共通項目を分析する」にまとめます。
それぞれの項目や分析を「強く同意」「その通り」「疑問が残る」に分けます。(見本の⑥欄)
8.強く同意できるか
7.で分けたうち「強く同意」と「疑問が残る」を「強みを明らかにする」(見本の⑦欄)に書き出します。
「強く同意」が自覚のある強み、「疑問が残る」は未知の強みである可能性があります。
9.予測
最下段の左側に、共通する個別の強みを書き出し、右側に「根本的にどのような強みを使っているか」という予想を書き出します。(見本の⑧欄)
ワーク2の作業は以上で終了です。
ここでポジティブ・フィードバックをいったん終了し、次にジョブ・フィードバックにとりかかりましょう