転職や独立など、人生の転機は自分のあり方や今後の人生を考えるチャンスですね。転機の際に、自分の強みや長所や特徴として面接でアピールする材料にしたい、会社でのキャリアアップにつなげたい、これは多くの人が思っているでしょう。
ですが、ほとんどの人が強みとは何かを知らずに単純に長所だと勘違いしています。単なるスキルや履歴書に書くことができる資格とも違います。強みとは何かを知らずに生かしきることはできません。
このコラムでは、強みとは何か、ビジネスにおいての強みを戦略的に生かすにはどうしたら良いかご紹介します!
そもそも強みとは一体何なのか?
強みとは具体的に言うと一体何なのでしょうか。
「強み」とは、先天的に「できてしまうこと」。 努力や訓練なしに、なぜだか自分だけ「いきなり」高いレベルでできてしまうことです。ほとんど苦労せずに、他人よりもスムーズに優位に立つことができる物事のことです。
引用:強みの基本概念 強み理論 第1章 1-2. 強みとは?
この、ほとんど苦労せずに自分にとっては当たり前で無意識にできてしまっているところがポイントです。当たり前にできていることなので、自分ではできているという自覚がありません。褒められてもなんの達成感もなく、かと言って全くストレスも感じません。
承認されたいという欲求すら湧いていないので、周囲の人からすごいねと言われても、こんな簡単なことで褒めるなんてと否定してしまいます。しかし自覚がなかったとしても大きな成果が得られているのが強みです。
自分で無自覚にやっている事を自覚しようとするのは容易なことではありません。誰か第三者に指摘されてはじめてわかることがほとんどです。
さらに自分の持つ強みの種類と、使うべき場や使うべき相手が重要となり、それにより得られる成果の大きさが変わる場合も。まずは自分の強みを知ることから始め、それを最大限に生かせるような活用の仕方を考えていきましょう。
注目すべきは今自分が持っているもの
世の中には転職するときのために強みを作ろうといった手軽なノウハウが多くありますが、そのノウハウではうまくいくはずはありません。
強みを作るものだと勘違いする人は、強みと能力を混同している可能性があります。この二つは似ているようで大きな違いがあるので、しっかりとわけて考える必要があります。
強みと能力の違い
強みと能力は、同じようにできていることですが、出発点が大きく違います。どのような違いがあるのでしょうか。
「能力」は、後天的に「できるようになったこと」。 外の世界(会社や学校など)に適応するためや、自分をうまく運ぶために、身につける物事です。努力や訓練によってできるように「なる」ことです。
引用:強みの基本概念 強み理論 第1章 1-2. 強みとは?
能力は努力によってできるようになったことなので、できていないことから始まります。それに対して強みはすでにできていることから始まるので、最初から持っているもの、自分の中にすでにあるものです。
能力は、努力によって得られた成果なので褒められると嬉しく思い、達成感が得られます。達成感や満足感のあるものは能力であると自覚してください。一般的には能力を強みとしてしまう考え方もあるようですが、性質が違うのでわけて考えましょう。
また能力は社会に適応しやすいように身につけているので社会性がありますが、強みには社会性がないものもあります。だからこそ使うべき場所や相手が非常に重要なのです。
達成感、感動という罠にはまると強みは見えなくなる
人の脳は、できなかったことができるようになった時に達成感や感動を感じるようにできています。できていないマイナスのところから始まって、できるようになったとプラスの方に動くからです。感動は快感であり、努力に対する報酬で、それゆえ感動とともに自己肯定感や自己評価も上がり、これが俺の実力だ!と自ら心に強く印象を植えつけます。
能力を使っている時は特にこの傾向が強く現れます。 達成感や自己肯定感といった感情に支配されていると、本来自分自身が持っているすでにあるものを見ようとしなくなります。高い成果を出すことができる素晴らしい強みがあったとしても、自分にとっては当たり前で何の達成感も報酬も感じられないので、無視してしまいないものになってしまうのです。
これから転職や独立したいという人生の転機になった時に、今まで得られた成果や成功は何かを考えるとまず思いつくのは強みではなく、能力である可能性は十分ありえます。達成感があり、心が動くので記憶に残ります。それに対して強みには自覚がないので例え記憶に残っていたとしても成果を得られたことから除外してしまいがちに。
今までそんなに大きな成果が得られたことがない、自分には強みがない、そう思って落ち込む人もいると思いますが、それは自分にそこまで注目したことがないから気がついていないだけかもしれせませんね。もっと自分に注目して、自分にできて他の人が苦労していることは何なのか、良し悪しの判断はせず単純に比較して分析してみると良いでしょう。
強みを作り出そうとするとどうなるか
もともと強みはすでにあるものなので、作り出すようなものではありません。もう持っているものを発掘して強みであるという確認をし、磨いてさらに強化することはできますが、ないものを努力で作り出そうとするのは能力です。
確かに能力も今できていることには違いないのですが、能力だけに注目するということは自分が持っていないものに注目することになります。それはないものに注目して努力で何とかしてある状態にしようとすることになりますね。
そうすると、本来の自分からどんどん離れていき、ない自分をどうにか社会に適合させ、成果を得ようとします。ないものに注目しているので、本来持っている資質が生かされず泥沼努力をすることにもなりかねません。だから、うまくいかないのです。努力もある程度成果を得ることはできますが、得られたとしてもある程度止まりです。
本来持っている、すでにある強みを生かせば大きな成果を簡単に得られるのに、「努力なくして成功なし」と無駄な努力をしたり遠回りしたりしては、効率的ではありませんね。もちろん、強みを磨くためにも努力は必要ですが、成果に直結しているので効率が良いのです。
ビジネスにおいて自分をアピールする材料として強みを使いたいと考えた際に悩むことも多いでしょう。努力で能力を得ようとするのではなく今すでに自分が持っているものに注目してみましょう。
ビジネスにおいて戦略的に強みを生かすとは
会社に勤めていても、個人で事業をしていても、ビジネスにおいて強みは誰もがすでに使っています。自分では当たり前すぎて自覚がないだけです。
戦略的にビジネスをうまく運ぶためには、まずは自分の強みが何か知ることと、そしてそれがどういう種類で具体的にどういうものなのか分析すること。強みは分析すると前に出て人と関わるトップ系、後ろで支えるバック系、能動的に成果をつかもうとするアタック系、受動的に支援するサポート系の4つの種類にわかれます。
この分類は、4つのポジショニングと言います。4つのポジショニングの概念は優秀なツールで、類型化と違い個性を把握して自分の個性を理解するのに非常に役立ちます。ぜひ、やってみてください。(→「大人の女子校」さんで開催されている4つのポジショニングセミナーのご案内はこちら)
分析してみると自分はどこの要素が多いか、どこの要素が少ないか傾向が見えてきます。これを自分の現在やっている仕事と照らし合わせると、やっている仕事と強みが発揮される分野が一致しているかずれているかわかります。
ずれが生じていると、仕事に対してストレスがかかった状態になっています。分析することで本来の自分の強みを生かして仕事をするにはどこに注目したら良いかわかるので、ストレスなく成果が出せるようになるでしょう。
まとめ
自分が本来持っている資質や特性は何かを考えるのは、仕事を探す時などの人生の転機だけではなく、自分の人生全体をうまく運ぶために必要なことです。強みを発掘していくと、本来の自分というものはどういうものなのか、深く探ることができます。
ビジネスで成功するためにはまず自分の強みが何なのか知るところから始め、分析して磨き、使うべき場を選び使うべき相手を選ぶこと、そしてそれを続けることです。短期的に成果を上げることももちろんできますが、長期的な視点も必要になります。
この記事を参考に、自分の強みとは何なのか、自分によく注目して今自分が持っているものをよく観察してみましょう。