子供を育てるということは、大変なことです。疲れることも多いでしょうし、ストレスがたまることもあります。時には子育ての本を読んだり、子育てサロンに行き子育ての先輩たちの声を聞いたりしても、悩みは尽きないですね。
しかし、子育てでイライラするのはもしかするとその子の持つ「強み」のせいかもしれません。イライラしたり周りの子と比べて不安になったりしたときに、「強み」のことがわかれば冷静に観察できるようになるでしょう。今回は子供の強みについて詳しくご紹介します!
子育てで注目した方が良い「強み」とは
子供を見るときに、何に注目していますか?子供が小さいと、周囲の子供と比べて「うちの子はこれができていない」「できるようになるまで時間がかかっている」と、できていないことに目がいきがちです。ですが、できていること、現時点でそうであることに注目するのが「強み」の基本的な考え方です。
「強み」って一体なんのこと?
「強み」とは、本来その人が生まれた時から備わっている資質で、なぜだかわからないけど他の人よりも簡単に成果を出せてしまうこと。自分にとってはごくごく当たり前なことですが、他の人にとっては当たり前のことではありません。
これは、周囲と比較しないとわからないことです。自分にとっては当たり前なので、すごいねと褒められてもポカンとしてしまったり、スルーして気がつかなかったり、自分では自覚しにくいことです。周囲の人によく言われても、自分ではなかなか認めたくないもの、それが強みだと思ってください。
強みは一人一人全て違います。同じようにできているように見えても、そこに至る過程が違うことはよくあります。それは、使っている強みの種類が違うからです。また、「強み」の大きさ、強さも違うので、似たような強みを持つ人でも成果は違ったものになります。
努力で身につけていくのは「能力」
努力して身についていくものは、最初は自分が持っていないものです。持ってないものを努力で獲得したものが、「能力」です。
一般的には、努力の方を評価しがちです。一生懸命頑張って、できるようになったら感動しますよね。今までなかったものが得られた、できなかったことができるようになった、というマイナス方向からプラスになるような物事は、達成感も生まれますし感動します。
ただ、もともと自分になかったものをどうにか社会に適応しようと得たものが能力なので、社会的にはマッチしていますが、それが自分本来の資質とマッチしているかというとそうではありません。自分になかったもの、から始まっているからです。能力に注目しすぎると、本来の自分からはどんどん離れてしまうので、注意が必要です。
「強み」は常に「良いこと」とは限らない
「強み」は、「一般的に、常識的に、社会的に良いとされること」とは限りません。すでに自分が持っていて、すでにそうであるという物事で、かつ成果が出ていることですが、いつでもどの場にいても、発揮すれば良い成果が必ず出るわけではないからです。具体的に見ていきましょう。
「目立つ」という強みがある子供
例えば、「目立つ」という強みがある子がいたとします。大人になってから「目立つ」のは、覚えてもらい、注目を集め、人前に出るには大きな強みとなるでしょう。
ですが、それが常にプラスに働くかどうかは別の問題です。「出る杭(くい)は打たれる」という言葉がありますが、目立つことで周囲から批判を浴びることもあります。
「目立つ」というのは、華があり常に何かに選ばれるなど、そういう目立ち方もありますが、ただ単純に目がいく、というものもあります。同じ「目立つ」という強みでも、種類が違うこともあるので、丁寧に観察すると良いでしょう。
目立つ子供は、幼少期からそのせいで怒られることが多い傾向にあります。ですので、それが強みということを自覚しにくいし、指摘されても否定してしまうことが多いです。目立つがゆえに、周囲の反応によってそうなってしまうのです。
「目立つ」がゆえの周囲の反応
目立つ子は、ただいるだけで目立ちます。言葉を発しなくても、周囲の目を集めてしまうのです。ですので、例えば子供たちが何人かの集団でいた時に、なぜか自分だけ「うるさい」と怒られるなど、理不尽な思いをすることが多いでしょう。
周りの子の方が騒がしくても、うるさくしているかどうか、という事実には関係なく目立つ子が怒られることがあります。それは自然と目がいくからです。兄弟でも同じですね。同じことをしていても、目立った方が親に叱られやすくなります。
このように、目立つ子供はそれだけで周囲の大人たちから「うるさい」とか「調子に乗るな」と怒られることが多くなります。逆に言えば、自分の子供時代を振り返った時にそう言われたことが多い人は、もしかしたら目立っていたのかもしれませんね。
子供の頃に体験する周囲の反応がどう影響するか
自分は何もしていないつもりなのに、「うるさい」「調子に乗るな」と怒られることを繰り返すと、だんだんと「うるさくしてはいけない」「調子に乗ってはいけない」と本来の強みである「目立つ」ことをなかったことにしようとします。その方が、生きていく上で都合がいいからです。
それでは、その子の本来の自分とは言えませんね。それがそのまま大きくなったら、せっかく「目立つ」ということを使える場に行ったとしても、強みとして十分に発揮できません。強みという自覚が生まれることはなく、むしろマイナスに感じてしまうのではないでしょうか。
成果をみると「強み」がわかる
目立つ、ということを例にして説明しましたが、他の強みにも言えることです。じっくり丁寧に物事を進める強みのある子は、周囲の大人からすると「早くして」と怒りたくなるかもしれないし、周囲の行動を見て全体を把握し、先回りして行動できる子は協調性がないように見えたり、「今はこれをやる時間でしょ、怠けないで」と言われたりすることがあるでしょう。
丁寧にやる子、全体を把握できる子のそれぞれの行動だけ見ると、「何をするにも遅い子」「途中で作業をやめて違うことを始める子」、に見えるかもしれません。ですが、時間をかけてでも丁寧さを優先させているのか、その子が途中からやり始めたことは後で必要になる作業ではないのか、結果として効率化できているのではないかなど、その行動で得られる成果を見てください。
子育てで親がイライラするポイントは実はその子の強みだった、ということはよくあります。理由がわからなくてイライラしてしまう行動は、それで成果を得ているのかどうかを丁寧に見ると違った見え方になっていきます。
大きくなったら「強み」になるかも?「強みのタネ」の見つけ方
子供でも、「強み」になりうる「強みのタネ」があり、強い強みになりそうなものは比較的小さな頃から使っています。それらを丁寧に観察し、本人に伝えてあげると良いでしょう。
見つけ方のポイントは、子供がよく言われる言葉をそのままメモを取っておくのがおすすめです。
「いつも陽気だね」「愛嬌があるね」「足が早いね」などの一般的に良さそうなことだけではなく、「声が大きい」「うるさい」などマイナスに感じることも言われる回数が多いものもそのままメモしておきましょう。丁寧に見ると、それも強みゆえの反応かもしれません。
また、他の子ができなくて、自分の子が簡単にできているのはなんだろう?と思いながら観察して見てください。小さい頃はほぼ何もできないのが当たり前ですが、その中でも手を使う動作は上手だな、などじっくり観察してみてください。できないことには、注目しなくて良いです。できることに注目してみましょう。
まとめ
「強み」は自分しか持っていない強力な武器になるものですが、諸刃の剣と同じで使う場によってプラスに作用したり、マイナスに作用したりします。ついイライラしてしまう子供の行動は、裏には強みが隠れていることもあるのです。
強みかどうかは他の子と比べるとわかりますが、その時は良し悪しの判断をせずに単純に比較してみましょう。強みがわかれば、可能性が広がります。育っていく過程で変わることもあるので、ぜひ時間をかけてじっくりと観察してみてください。