第3章 強みの活かし方

強みを発掘しただけで満足したり、思っていたような結果が出ずにそのまま放置したのではもったいない。強みを発掘した後は、その強みがどの場面でもっとも活躍するのかを知り、使い途を明確にし、実際に使って成果を出してゆくことが大切です。

そのためのポイントは、「磨く(研磨する)」「伸ばす(補正する)」「活かす」です。

「磨く」「伸ばす」を行うと、表面上の強みが本質的な強みへと近づいていきます。同時に「強みの強度」がある程度自分で分かるようになります。能力とは異なり、強みを磨き伸ばすことは死にものぐるいの努力や訓練を要しません。
が、正確な振り返りやデータを取ることが重要となります。

目次

3-1. 強みを磨く(研磨する)

研磨とは、一般的には刀や宝石を研ぎ磨くことを指します。研磨することによって、刀は切れ味を増し、宝石はより輝きを放ちます。
強みを磨く(研磨する)とは、自分の強みの特性を明確にすることであり、強みがどの場面でもっとも活躍するのかを知って積極的に使うことです。 まずは、強みがどのように広く使えるかを試し、その後、深く使える場面で試していきます。

ワークシート・詳細

こちらのワークは「強みを磨く観察ワーク」です。
記入見本付きワークシートは無料で配布しています。下記からお申し込みください。見本を参考に、記入してみてください。用紙が足りなければコピーしてお使いください。

強みを観察する場合の注意点

① 3つのフィードバック(第2章)から見つかった強みを、意識して積極的に使うこと。
② 「どのように」使えるのか、強みを観察すること。 気づいた自分の強みの特性は、どんなことでもすぐに記録してください。
③ 強みを使う範囲・場(適用)を広げ、結果を確かめること。 強みを使う対象物を変えたり、別の形で使える可能性を探ります。

強みを磨く観察《ワーク 手順》

強み理論 ワークシート
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シートを準備

別紙「強みを磨く観察ワークシート」を準備してください。

3つのフィードバック(第2章)で導き出した強みのうち、磨く強みをひとつを記入します。 [見本の②欄]

強みの発動

強みをどのように使っているのかの欄に「強みがどんなときに発動するのか」記入します。 [見本の③欄]

客観的な自分の様子

強みを使っているときの客観的な自分の様子や状況を記入します。[見本の④欄]

「広げた範囲」とその範囲での使い心地

強みを使う範囲・場(適用)の欄に「今まで使っていた範囲」を記入し、今回磨く上で「広げた範囲」とその範囲での使い心地を記入します。[見本の⑤欄]

強みの活かし方

最後にあなたの強みの活かし方を最下段に明記します。 [見本の⑥欄]

3-2. 強みを伸ばす(補正する)

「補正」は、一般的には足りないところを補い、誤りを正すことであり、誤差を除いて、正しい値を求めることです。強みを伸ばす(補正する)場合の「補正」とは、磨いた強みの精度と確度を高めることです。
強みを「深く」使える場面で試すのを繰り返します。

強みとは、他の人が20〜30%程度しかできないことを、自分だけがいきなり80%のレべルできる力のことです。この80%の力に修正を加えて、100%に近づくように補正していきます。残り20%が満たされていないのは、未熟だから(至らないから)ではなく、勘違いや思い込みがあることが原因です。

この勘違いや思い込みを取り除いて、精度と確度を高めることが「強みを補正する」ことです。

※「精度」と「確度」の違い
●精度:精密さの度合いで、再現性・反復可能性の尺度を言います。
●確度:確実さの度合いで、正確性(真の値とどの程度近いか)を言います。

ワークシート・詳細

こちらのワークは「強みを伸ばす観察ワーク」に当たります。
記入見本付きワークシートは無料で配布しています。下記からお申し込みください。見本を参考に、記入してお使いください。用紙が足りなければコピーしてお使いください。

強みを観察する場合の注意点

(1) 磨いた強みを深く使える場面で試しながら、測定します。
(2) (1)の測定結果をデータとして貯め、観察し続けます。
(3) 精度と確度を確認しながら、高めていきます。

強みを伸ばす観察《ワーク 手順》

1. シートを準備

「強みを伸ばす観察ワークシート」を準備してください。

2. 「強みの特性」を記入

強み観察から明らかになった「強みの特性」を記入します。 [見本の②欄]

3. 「強みが深く使える場面」を予測

2の特性を分析して、「強みが深く使える場面」を予測して記入します。 [見本の③欄]

4. 事実を観察

3で書いたうちの任意のひとつの予測場面で、実際に使って事実がどうであるか観察しデータを記入します。(売り上げ金額や反応してくれた人の数など、数値化できるものがあれば数値で記入する) [見本の④欄]

5. 確認

精度と確度の観点からみて、予測が適切かどうかを観察し確認することを繰り返します。これにより強み発現の精度と確度を高めてゆきます。 [見本の⑤、⑥欄]

 

3-3. 強みを活かす

発掘した強みを最大限に使って、自分にしかできない生かし方を自ら予想します。
強みは単独で生かすこともできますが、組み合わせることで自分にしかできないものを生み出すことが可能です。両方のアプローチから、自分の強みの使い途を明確にしていきます。

ワーク用資料・詳細

こちらのワークは「強みを生かすワーク」に当たります。
記入見本を参考に、あなたの強みの観察結果を書き出すようにしてください。
用紙が足りなければコピーしてお使いください。

強みを観察する場合の注意点

(1) 3つのフィードバック(第2章)から明らかになった強みの中で、既に使いこなせているもの、明らかに強みであるものを中心に、どのように生かすことができるかを明確にします。
(2) 強みと強みを組み合わせてできるオリジナリティの高い行動を特定します。
(3) (1)と(2)の強みを生かした行動から、その行動がどのように自分に適しているかを特定します。

強みを生かす《ワーク 手順》

記入例
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1. シートを準備

「強みを生かすワークシート」を準備してください。

2. 強み一覧表

「強み一覧表」の欄に3つのフィードバック(第2章)で導き出した強みを記入します。 [見本の②欄]

3. はっきりと使いこなせている強み

各強みの中から「既にはっきりと使いこなせているもの」「明らかに強みであるもの」に○をつけます。 [見本の③欄]

4. 強みをどのように活かすか

「生かし方一覧表」の上の表に、○をつけた強みの中から最も活かせるものを4つ選び記入します。続けて右枠にその強みを仕事などでどのように活かすか記入します。見本では仕事に寄った回答を例として挙げていますが、仕事に直接関わりがなくても構いません。 [見本の④欄]

5. 生かし方一覧表

「生かし方一覧表」の下の表も同様に、組み合わせることできる仕事、役割を書き込みます。[見本の⑤欄]
ただし、過去に実績を残したことがあるものに絞って記入するようにしてください。「できるはず」のものはここには記入しません。

6. 「わたしの強みの生かし方は」欄を記入する

最後に、あなたの強みの活かし方を最下段に明記して終了です。[見本の⑥欄]

ワークシートの作業はここまです。 【仕事と役割に役立つもの】という視点で作成してみてください。


第2章で発掘した強みを、第3章ではどのように生かすかを考えてみました。強みは持っていればそれでよいというものではなく、意図して磨いたり成功率を高めたりする必要があることを理解していただけたことと思います。

続く第4章では、強みを最大限に生かすために押さえておきたい4つのことをお伝えします。

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